「神楽坂まち舞台・大江戸めぐり」では夕暮れになると、毘沙門天善國寺や赤城神社で美しい竹あかりが灯り、その優しい光に来街者の皆さまも足を止めて眺めています。そんな竹あかりで祭りを彩っている「ちかけん」の中村友哉さんにお話を伺いました。
――ご自身や所属する団体について教えてください。
僕たち「ちかけん」は竹を使った空間演出をやっている会社です。自分たちで作って演出する場合と、みんなに指導する場合の2種類でやっています。竹あかり自体は大分や熊本…九州が中心なので、なかなか東京で見る機会はないと思いますけど、実は全国に広めるためにいろいろな地域でやっています。
――なぜ竹あかりを始めたのですか?
九州地方は竹が管理しきれず竹害というのがありまして…竹林が荒れ放題というところばかりなんですね。で、その間伐材を使って何かできないかというのが始まりでした。そこでアイディアを出し合い、竹を使った演出をやってみようと取り組んだんです。間伐材を竹あかりに使って炭にし、そして農業に活かすという循環型社会を目指す…という願いを込めて「ちかけん」がスタートしたのです。
――神楽坂と関わることになったきっかけを教えてください。
僕たちは創業当時から、「いろいろな都市と関わろう、いろいろな人と会おう」ということを信条としていたのですが、その中で舞台演出の山口太郎さんと出会い、それがきっかけとなって神楽坂のまちと関わることになりました。
――そこから2月から3月にかけて神楽坂通り商店会で行われる「神楽坂竹あかり―坂の街のイルミネーション」というイベントにもつながったんですね。「神楽坂まち舞台・大江戸めぐり」が地域に根付き、そこでの素敵な出会いが、街の通り全体の演出や竹あかりワークショップという新しい広がりとなり、地域に貢献できているのをあらためて感じました。
――竹あかりはその土地にしかない風景と物語を表現しているとのことですが、神楽坂ではどんな物語で創っていますか?
神楽坂はやはりいろいろな人が来ますし、外国人の方も多いので、複雑に入り組んだテーマや趣向よりは、竹あかりのスタンダードさというか、シンプルな良さが引き立つデザインを心がけています。
毎年、楽しみにして来てくだる方もいるので、いろいろな違いを出して、見る人が飽きずに楽しんでもらえるものを作りたいと思っています。
――イベントに参加してみてどう思いましたか?
竹あかりを見た人に暖かいお言葉をたくさんかけてもらったことが印象的でした。「こんな素敵なものが日本にあったんだ、竹がこんな風に利用できるんだ」と。僕たちにとって竹は身近にあるため、こんな風に声をかけられることが少ないので、新鮮な感動がありました。ワークショップで初めて竹あかり作りを体験なされた方が、「次はどこで体験できるの?」とか、「また体験したい」とかお声をかけてくださって、楽しんでいただけて良かった、興味を持ってもらえて良かったと思いました。
――最後にイベントについてお聞かせください。
竹あかりに関して言えば、飾れる場所がもっと増えればいいなと思います。例えば赤城神社ですが、今は少しだけ置かせていただいているので、もっとたくさんの竹あかりが置けるといいな、と。
イベント全体で言えば、まち舞台では外国人の方も多いので、もっと僕たちも海外の言葉を勉強して、しっかりと日本や神楽坂、そして竹あかりの良さを伝えたいと思っています。